友人の神社仏閣ライター・坂原弘康さんの
「大仏をめぐろう」が出版されました。
(イーストプレス 1590円+税)
これがも〜う、
素晴らしいッッ!!!!
仏像ブームで、仏像本はアホほど出版されていますが、
そんな中ほとんど見向きもされてこなかったのが大仏。
奈良、鎌倉の大仏を除けば、ほとんどその価値を認められてきませんでした。
というのも、仏像というのは基本的に美術という価値意識の下でのみ評価が下されていて、江戸時代以降作のものはほとんどその価値に目が向けられません。
とりわけ大仏は、金持ちが財力にまかせてつくったモノと見なされがちでいわばB級スポット的扱いをされるものがほとんどです。
デカけりゃデカいだけB級度が増してしまう、
建立者の思い入れと世の見方が反比例してしまう哀しき運命すら背負っています。
そんな風潮に毒されることなく、デカい仏様、スゴイじゃん!という
プリミティブな驚きや感動を原動力にして、愛情たっぷりに全国の大仏様を
めぐってレポートしたのがこの本なのです。
各大仏様のレポートは、坂原さんが拝観した際の素直な感動をベースにしながら、詳細な解説もしっかり載っていて、ウンチクを仕込めつつも旅情を誘います。
そして、"美術品としての仏像"という世にはびこる絶対的評価基準などにとらわれない、という筆者の清らかなスタンスを象徴するのが、聚楽園大仏(しゅうらくえんだいぶつ・愛知県東海市)の紹介。
昭和初期建立のこの鉄筋コンクリート仏の誕生を「大仏革命」と歴史的に評価し、
「大仏新時代の幕開け」と位置づけるのです。
聚楽園大仏の作者・後藤鍬五郎さんは、我らがコンクリート仏の巨匠・浅野祥雲さんと時代的にも地域的にも類似点が多く、このコンクリートという素材と仏像の出会いを初めて積極的に評価した坂原さんの視点は、私にとっても大いに刺激になり、かつ心強く感じられるものでした。
B級といわれているものを低級として見るのではなく、その魅力や立ち位置に先入観なく目を向けようとする坂原さんの大仏観は、珍スポットファンにひとつ新鮮な指標を示してくれるものだと感じます。
このブログをのぞきに来てくれるような方なら、
読まないなんて選択肢はあり得ない 必読の1冊です!
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